Dear my friends F 14





今年度2回目の理事長室は異様な雰囲気に包まれている。的にはちょっと居心地が悪い。

「理事長、どういったご用件でしょうか。明らかに、部外者が居ると思うのですが...」

硬い声と硬い表情。生真面目がオーラとして体から溢れているのは、聖帝学園生徒会会長の方丈慧だ。彼は不快そうにを睨んでいる。

そして、その隣には、少しこの状況を楽しんでいる様子の生徒会副会長である方丈那智。

は取り敢えず、その2人とは顔見知りである。

そして、顔見知りというか少しだけ言葉を交わした事のある教師..確か『天童』と言った、派手なジャケットを着ている人物と、知らない人物が2人。

「方丈君、実は君たちには話しておいた方がいいと思ってね」

「何をでしょうか?」

そう言ってやはり慧は鋭い視線でを睨む。

何でまたこうも嫌われているのかしら?

は心の中で首を傾げていた。

「先ほどから方丈君が気にしているこの方のことなんだがね」

そう切り出して理事長はの話をする。

の話、というか職業の話だ。

それを聞いていた慧の表情が見る見る変わっていく。

あれだけ厳しい表情をしていたのに驚き、そして少しだけ尊敬の感情を孕んだものに変わっていく。

「ま、まさか...!」

「あはは〜。兄さん、先生の大ファンなんだよ」

慧の反応に困惑しているに那智は笑いながら解説した。

「那智!」

慧が鋭い声を出して窘めるが、「ありがとうございます」とが言うと、「いえ」と気恥ずかしそうに視線を外した。

「それで、理事長。僕たちは何をすれば...」

「実は、先生はこの学校で取材をされているのですが、今度授業風景も見学したいと仰ったのでね。3年A組の授業はどうかと思って。科目は、天童先生の宗教。珍しい科目だから是非に、と先生が仰ったのでこちらとしてもぜひご覧頂きたいと思ったのだよ。
しかし、一応先生の正体は、内緒にしておきたいといわれているので生徒は多少なりとも不信感を抱くだろうから、そちらの、生徒側の統制は君たちに頼むのが一番だと思ってね。頼めるかね?」

理事長の言葉に慧は「もちろんです」と胸を張ってに向き直った。

「この聖帝学園生徒会会長方丈慧と副会長の方丈那智がその任務を完遂してみせましょう。安心して取材をしてください」

こんな大事な話になるものか...?

そんなことを思ったが、「よろしくお願いします」とは頭を下げた。

この学校の優秀な教師であるGTRにも紹介された。

天童、桐丘、加賀美の3人だ。名前に偶然『R』がつくから『GTR』という名前のユニットになっているとか。

何だか、個性的なのが居るな...

T6も結構個性的だったが、こちらもそれに負けず劣らずといったところだ。


理事長室を後にしては取り敢えず職員室に向かうことにした。宗教の授業は5時間目だが、まだ時間がある。

GTRにはまだ話があるから、と理事長は残るように指示をし、を案内してきた上條も残った。

理事長が他の教師でも呼んで案内させようかと言ったが、理事長室から職員室への道のりは経験済みだからは断った。

「先生」

慧の声がして一応振り返ってみた。

どうやら彼が『先生』と言ったのは自分だったらしく、まっすぐ自分の下へとやってくる。

「方丈慧君」

「...名前、覚えておられたのですか?」

うわぁ...物凄く丁寧に敬語だ。

何だか笑いそうなのをこらえて「前に1回職員室まで連れて行ってくれたでしょう?」と言うと何だか嬉しそうな表情をした。

「で、そっちが方丈那智君。アホサイユの前で会ったよね」

「わぁ...おれのことも覚えてたんだね」

「たったひと月くらい前の話だし。まだ覚えているよ」

苦笑しながらは答えた。

「あ、そうそう。方丈慧君」

に名前を呼ばれて慧は何事かと構えた。

「わたしのことは『先生』とは呼ばないでね。本名はあの時言ったと思うけど、です。なので、呼ぶときは『さん』くらいで」

不思議そうな顔をする慧に苦笑する。

「さっき、理事長も仰ってたでしょう?職業は内緒で。あれ、ペンネームだし」

「何で、職業は内緒なんですかぁ〜?」

那智が手を上げて聞いた。

「んー、素の皆が見たいから、かな?素の学生を見たいのよ。何か良くわかんないけど、どうやらわたしの書いている本って売れてるみたいで、おかげさまで熱狂的なファンまで居てくれるんだけど。もし、ありがたい事に生徒さんの中にそういう人が居たら、きっと『素』は見れないだろうし、こっちも取材しにくいと思って」

「なるほどねー」と言いながら那智は彼女の言うところの熱狂的なファンである兄を見た。

兄は苦悩の表情を浮かべている。

サインとかちょっとほしいなんて思ってるんだろう。

そんなことを察した那智は「ねえ、サン」と声を掛ける。

「何?」

「じゃあさ。秘密にする代わりに、サインがほしいなー..なんて?」

「な!?那智!!」

「ああ、良いよ。何か紙持ってるかな?ペンはあるけど...」

「今度いつ来る?そのとき、本を持ってくるから、それにお願いできない?1年かけて取材するってさっき理事長が言っていたと思うけど...」

は苦笑しながら「おっけー」と頷いた。

そのまま方丈兄弟と共に職員室へと向かう。

「では、後ほど」

そう言って慧は頭を下げ、「じゃあ、またあとでね」と那智が軽く挨拶をすると「那智!」と慧が叱る。

苦笑しながらは軽く手を振り、職員室のドアを開けた。









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桜風
09.7.31


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