| が次に聖帝にやってきたのは体育祭のときだった。 体育祭は部外者は基本的には入れない。 そのため、講師をやっている一に頼んで招待状をもらった。勿論、事前に学園のほうにも取材で訪問するという旨の連絡は入れている。 体育祭はそれはそれで懐かしかった。 運動は嫌いではないが、当時はあまり激しい運動はできないということもあって玉入れだけに参加したような気がする。 そういえば、一はサボったんだったよな... 何だか本当に遠い過去のように思えてきた。 数字にすると..5年前。あっという間だ。 周囲のにぎやかな雰囲気を楽しみながら校庭に向かった。 「!」 一が駆けてくる。 「どうしたの?」 「瑞希、どこに居るかわかんねぇか?」 「瑞希?まだ会ってないけど...」 「ちゃん!ミズキ見なかった?」 「今日はまだ見てないかな?」 同じことを聞かれる。 何だろう、と首を傾げると 「ほら、もう良い気候だろう?」 と一。 「うんうん、ポタポタと沢山落ちてきてもおかしくないでしょ?!」 と悟郎。 ああ、そうか... は取り敢えず携帯を取り出した。 「翼の秘書さんでも見つけらんないの?」 「そうみたいなんだ」 コールしている間に一とそんな会話をしていると電話が繋がった。 『トゲー!』 「ああ、トゲー?瑞希は今どこ?ほら、トゲーもそろそろ過ごしやすい季節になったからね」 『トッゲー!トゲトゲトッゲゲ〜!!』 電話からもれて聞こえるトゲーの言葉に一は耳を澄ませた。 「アホサイユの裏だ!」 一がそう言い、悟郎も駆けて行った。 アホサイユの裏なら永田が見つけられないはずがないだろうに... 「おう!そこなら、オレッ様が罠を仕掛けてるからな〜。マダラのやつ、珍しくひっかかったんじゃねェの?キシシシシ」 の考えていたことを察した清春が言う。 「相変わらずですねぇ」 笑いながら言うと「まァな!」と得意気に清春が返した。 「そういえば、ハルは誰の担当なの?」 「まァ、あえて言うなら、方丈弟だな」 ぽかんとが間の抜けた表情を浮かべた。 「アイツが〜、自分も試験を受けたいっつってるから、付き合ってやってンだ」 「変わった子ねぇ...」 が感心して言うと「ケッ!」と清春が毒づく。 わざとらしいとでも言いたいのだろう。 実際、わざとだ。 「そういや、『取材』は順調かァ?」 「ぼちぼち。ものを書きながらだから、中々進まないんだけどね」 「ああ、来月また新刊出すらしいなァ?」 「おー、よく知ってるね。チェックしてくれてるんだ?」 がからかうように言うと 「ヴァーカ。何でオレッ様が態々凡人のの書く本をチェックしなきゃならねェんだよ!」 「いやいや。照れなくても良いから!嬉しいな〜。5冊も買ってくれるなんて!!」 「んなコト言ってねェだろうが!!マジふざけたコト言ってると、泣かすぞ!」 「泣く、かなぁ?いじめられたくらいじゃわたし泣けないと思うんだけど」 まじめにそう返されて清春は溜息をつき、そのまま去っていった。 「うわぁ、凄いなぁ。あの仙道先生を引き下がらせた人って初めて見た。やっぱりサンは凄いなぁ〜」 「そんなことないよ。ハルが大人だから引き下がってくれたの。意外と優しいところあるんだから。ところで、今日来るって連絡してなかったけど、本は...」 に声を掛けてきたのは那智だ。 そして、先月サインをすると約束をしていた。別に今回達成しなければならない約束でもないが、気になることは気になる。性分だ。 「ああ、それなら兄さんがあの次の日に生徒会室に本を持ってきてたから、いつでもサインもらえるように準備してますよ」 ニコニコと笑う那智にもニコニコと笑っている。 「...ねえ、方丈那智君」 「何ですか?」 「楽しくないのに笑ってて疲れない?」 の言葉に一瞬那智の表情が凍った。 しかし、それは本当に一瞬のことですぐにマイペースで人当たりのよさそうにな雰囲気を醸し出す。 「変なことをいうなぁ、先生は」 意趣返しに、とのことを『先生』と呼んでいる。 まだまだ子供だなぁ... そう思いながらは「先生はやめてほしいなー」と返し、「じゃあ、体育祭が終わったら生徒会室に行くけど大丈夫かしら?」と確認する。 「ああ、ちょっとバタバタしてるかもしれないけど、お茶くらいなら出しますよ」 「あなたのお兄さんも認めるような美味しいのにしてね」 そう言っては理事長のいるテントへと向かう。 この日差しの中、真っ黒な衣装の彼は熱射病にならないのだろうか... の背を眺めていた那智は「チッ」と苛立たしげに舌打ちをした。 「ほんっと、ヤな『先生』だな」 そう吐き捨てた那智は、いつもの生徒会副会長の顔を作り、自分が仕事をサボったせいでちょっとイライラしているであろう兄の元へと足を向けた。 |
桜風
09.8.7
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