Dear my friends F 19





今年の体育祭は中々熱いバトルを見ることが出来た。

成績優秀スポーツ万能なクラスA。対して、成績は良くないものの、一芸に秀でた者として編入した生徒が集まっているクラスZ。最初はぶっちぎりでクラスAがトップを独走していた。

しかし、クラスZの中でも群を抜いて運動神経が良いA4が本気を出してしまったため、その差はじりじりと縮まり、結局蓋を開けてみたら同点ということに成った。

お互い、それでは納得できないが、もう競技がない。

今年の優勝は3年のクラスAとクラスZと言うことになった。


それはともかく。

閉会式の準備を進めている中、理事長が突然提案した。

「卒業生がこれだけ揃っていることだし、先輩後輩で対決してみてはどうだろう」

『どうだろう』じゃねぇ!!

は心の中で盛大に口悪く突っ込みを入れた。

しかし、父兄や学校の後援にあたる企業等々のお偉いさんも賛成のようで拍手が広がる。

まあ、卒業生チームはB6だろうし。人気のある芸術家とかスポーツ選手が居るし。

相手はどうやら在校生の中で運動神経が良いものの上から6人。

つまり、A4とP2の6人となった。

反目しあっているA4とP2だが、それでも負けず嫌いな性格は一致している。

何より、相手のB6は普段から一々自分たちに構ってうざったい。

ここで負かしてちょっとでも優位に立ちたいと思っているようだ。

「なあ、理事長。『卒業生』で良いんだよな?」

一が手を上げてそう言った。

「ちょ、敬語使いなさい!」

が窘めるが、これはどうやらいつものことのようで、よく言えば『フレンドリー』が一の長所らしい。

「じゃあ、オレら今7人居るから...」

『7人』!?

「ちょっと、待って一。7人??」

「おう、オレらB6と

「何でわたしも人数に入ってるの?!」

掴みかからん勢いでそう言った。

「だって、折角だろう?はもう元気になったっていうし、走ろうぜ。いつもはスーツみたいにパリッとした服なのに、今日は結構ラフだよな。靴も走るのに悪くないものだしな」

何さわやかに言ってんだ...

「ふむ。そうだな。しかし相手が6人だから一人抜けなくてはいけないな。誰が抜ける?」

「ちょ、なに話進めてんのよ、翼!」

「ナナじぇねェか?のろまだからなァ〜」

「えー、ゴロちゃん走るの好きじゃないよー」

「僕も、ヤダ.......面倒くさい」

こ、これは...

は諦めの溜息をついた。

何度か経験したことある。自分の拒否権だけ全く汲み取ってくれない雰囲気だ。

「瑞希は、その気になれば結構足速いよね」

諦めて話に入ることにした。

「ああ、そういえば。がらみだと結構足速いよな」

一が頷く。

「...」

瑞希は何か言いたげだったが、黙ったままなので取り敢えず別の話に移す。

「悟郎と瞬だったら、やっぱ悟郎の方が足は速いよな」

「でも、その靴だと危ないよね」

悟郎の足元を見ながらは呟く。

「ああ、一応、ヒールの低い靴はもってる。...履き替えて来るよ」

諦めたように溜息をついてその場を後にした。

「それでェ?走る順番はどォすんだよ?」

「スウェーデンだからな...」

このリレーは走者によって走る距離が違う。

今回は人数が人数だから少し変則的だが、100m×2人、200m×1人、400m×1人、800m×1人、1200m×1人となっている。

、どれくらい走れる?」

「頑張れば、たぶん200。って言っても、わたし駆けっこなんて中学上がってから全然してないからね」

「庶民の学校では体育の授業では走らないのか?」

「庶民の学校に通ってても、一番手を抜いたのが体育なの。多少運動神経が悪くても、そのほかの、所謂5教科の成績さえ良ければ教師受けするからね」


結局話した末に、悟郎、瑞希、、清春、一、翼の順となった。

はアンカーは一だろう、と言ったが、アンカーこそ花形だといって翼が聞かない。

「あのさ、いつもあんな広いフィールドを走り回っている一の方が長い距離を走るのには向いてるんじゃないの?翼は普段からそんなに走ってないでしょ?」

が言うが

「ふん!この俺があの小僧どもに負ける、だと?後輩に負けるなど先輩の股間にかかわるようなヘマをこの俺がすると思うか?」

「...蹴っ飛ばして良い?」

真顔でが聞く。

「What!?相変わらず意味が分からん突飛なヤツめ」

「...ツバサ。股間じゃなくて、沽券。お約束って言えばお約束だけど、女の子の前でその間違いはものすっごーーーーーく恥ずかしいよね。というか、軽くセクハラ入ってんじゃない?」

悟郎に指摘されて翼は咳払いをし、「たまたまのMistake、だ」と言う。

「相変わらずだな、真壁」

瞬が溜息と共にそう言った。

「う..うるさい!人間なんだからたまに間違っても良いだろうが!」

「生徒の前で間違わないようにね」

呆れた口調ではそう言い、髪を気にする。

「ゴロちゃん、ヘアゴム持ってない?」

「ああ、ごめん。ボク、今日は持ってないや」

は入院生活を卒業してからまた髪を伸ばし始めた。

髪を切りに行くのが面倒だから、と悟郎に言ったら物凄く怒られそうだったのでそれは言っていないが、こうやって動くときにはとても不便だ。

「じゃあ、俺のをかしてやろう」

そう言って瞬がヘアゴムを渡す。

「...せっかく短くしたのになんで持ってんの?」

「昔の癖だな。ま、今役に立ったから良いだろう」

「そうだね。ありがと。後で返す..新しいのが良い?」

「それでいい。そのゴムだって新しいものじゃないんだ」

苦笑しながら瞬がそういい、「ありがと」とは礼を言ってささっと髪をまとめた。









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桜風
09.8.14


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