Dear my friends F 20





第一走者がスタート地点に立つ。

在校生側は八雲だった。

「へー、タッチーがトップバッターなんだ?」

悟郎が並ぶ八雲似声をかける。

「まあ、アンカーは沢山走ることになるし。最初も結構目立つからね。それはそうと、風門寺センセ。あの人誰?」

そう言ってを振り返った。

「ああ、ちゃん?そうだな、ボクの大好きな人だよ」

『大好き』がどの『大好き』か分からないくらいさらりと悟郎が言う。

「...ふーん」と言いながら八雲はちらりともう一度を見た。

彼女は自分の視線に気が付いたのかヒラヒラと手を振ってきた。

驚いてそっぽを向く。

ああやって余裕ぶって手を振るのはいつもだったら自分なのに。

なんだか、不思議な感覚に襲われ、そして同時に少し興味を持った。

「あとでお話してもらおうっと!」

「ダメダメ。ちゃんは忙しいんだから。ボクたちだって中々ゆっくり話ができないんだから、タッチーみたいなお子様にそんな貴重な時間を譲るつもりはないよ」

悟郎がからかうように、半分本気で言う。

「オトナゲなーい」

そんな風に言う八雲に「ふふ」と笑い、スタートの合図を待った。

カッコいいところを見せる折角のチャンスだし。


「おー、意外と速いな...」

トラックの中で悟郎が走る姿をは眺めていた。

「おい、。適当にしとけよ。オメェが差をつけられてもオレッ様とナギとカベが何とかするからな」

「うわ、優しい!」

が目を丸くして言うと「また倒れられても困るだろォが!」と返されて何もいえないで黙る。

、もう立ってた方がいいぜ」

既にバトンは瑞希に渡っていた。

在校生の第2走者は千聖だ。

運動神経が良い千聖だが、

「瑞希!ここだよ!!」

バトン中継地点にいるが手を振って応援している甲斐もあって瑞希もそれなりに速い。

しかし、瑞希は運動にはやはり向いていないのか、千聖が運動神経が良すぎるのか2人の差は開いていく。

「瑞希が第2走者でよかったな...」

一が呟く。

「ああ、そうだな。走る距離が短いから差もそこまでつけられないで済んだ」

翼が同意する。


瑞希はにバトンを渡してそのままトラックの内側にふらふらと入ってくる。

「お疲れ」

バトンを貰うときには「瑞希凄い!」と頭を軽く撫でた。

それが嬉しかったので、トラックで倒れるのはやめてもうちょっとだけ頑張った。

第3走者はアラタだ。

が相手だからか、少し手を抜いている感じがある。

運動神経が悪くないといっても相手は現役の男子高校生。しかも、あのクラスZに編入している生徒だ。何か秀でた才能を持つ、分かりやすくいうと運動神経のいい生徒のはずだ。

それが相手で差がこの程度で済んでいるとなると、これは向こうが手を抜いているとしか思えない。

ラスト50mくらいになって手を抜いて走っていたアラタが慌てる羽目になった。

のスピードが上がった。

それでも、ギアをあげればアラタの方が上になるのは当たり前で次の走者の那智には睨まれつつも多少楽が出来る程度には差をつけてバトンを渡すことが出来た。

「ハル!」

「おう!」

清春にバトンを渡してはそのままトラックの中に倒れこんだ。

「大丈夫か、

「きつい...あのさ、わたし普段の仕事は動かずに過ごしてるのよ。ずっと座ってる。もー、無理!絶対無理。明日筋肉痛!!!」

ゴロリとグラウンドに寝転がっては言う。

「ま、よく頑張って走ったな」

一が顔を覗きこんでそう言った。

「とっげ〜!」

おでこにひんやりとした感触がある。

「気持ちいい...でも、トゲーは大丈夫?暑くない??」

「トッゲー!」

ご機嫌な返事だから大丈夫なのだろう。

「気持ち悪くなったらどけてね。トゲーが倒れたら瑞希が泣いちゃう」

そう言いながらは体を起こして首を傾げる。

何で?

アラタに差をつけれたのに、清春が那智といつの間にか並んでいる。

「方丈弟が..手を抜いてる」

「何で?負けちゃったら元も子もないのに...」

そう呟いていると「くまぁ〜」と学園内でも有名になった清春曰くの『マスコットキャラクター』のクマがやってきた。

の膝の上に載る。

「お、クマさん。この間の子とは別だね。あ、ねえちょっと協力してね」

そう言ったは一の名を呼ぶ。

「ん?お、クマだ、クマ!」

やはり予想したとおり嬉しそうに寄ってきた。

「戻る!ハルが来るでしょう」

ビシッとバトン中継地点をが指差し「えー...」と不満そうに声を漏らしながらも一は第5走者のスタート地点に向かう。

「一。方丈君に勝ったらこのクマさんがハグしてくれるって!」

「何!本当か!!」

の言葉に驚いたのは一だけではなく、突然話を振られたクマもだ。

「くま!くまくまっくっまーーーー!」

どうやらかなり抗議されている。

その間に一にバトンが渡った。

「ご協力多謝。いいよ、もう。一には適当に言っておくから。後日無理やり抱きしめられることもないように約束もさせる。ありがとうね」

そう言ってクマを撫でた。









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桜風
09.8.14


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