Dear my friends F 23





「...ん、っあ。..もち、いい...」

...」

「ああ..んっ...あ、そこっ、気持ちいい」

「...」

「あっ...ぁ」

「あのさ、

「、な..に、一...っん」

「ちょっと休憩して良いか?」

「ん。いいよ。てか、疲れたならもう良いよ」

そう言っては体を起こす。

「いや、疲れてないけど...」

ただ、その漏れる吐息をどうにかしてほしいだけで...何と言うか生殺しと言う単語が頭から離れないんですけど...

なんてことを思いつつベランダへのドアを開けて風を入れた。

「うわ、でも結構楽になった。さすが、プロ」

そういっては自分の足をさする。

「オレ、マッサージのプロじゃないんだけど...」

「でも、スポーツ選手ってそういう技術も身に着けてるんじゃないの?」

「普段はトレーナーとかがついててくれて、そういう人がマッサージをしてくれるからなー...」


昨日、体育祭で200m全力疾走したお陰では見事に筋肉痛になったのだ。

夕飯を食べに行くときから歩き方がおかしかったので

「今日、風呂に入ったらちゃんとマッサージしとけよ」

と一は忠告をしたが、それでもやっぱり素人だからなーと本日様子を見に来たのだ。

案の定、筋肉痛で歩けないとか言っている。

お陰で冷蔵庫が空の状況だったので朝食もまだだとか。

一応、差し入れに近所のコンビニでパンを購入してきてたので、まずはそれを食べさせた。

「出前取れば良かったんじゃないか?」

「だって、玄関に出るのも大変なのに。今日はずっと居留守使ってる」

笑いながらはそう言った。

自分は彼女の住むマンションの前に着いたときに電話を入れたので玄関まで頑張って出てきてくれたという。

どうでもいいが、部屋着なのだろうから自分が文句を言うのは僭越すぎるだろうが、何故そんなに薄着なのだろうか。

タンクトップに短パンとかって、ちょっと本当に目のやり場が...

そんなよこしまなことが頭に浮かんだので慌てて本日の訪問理由を告げて実行に移したのだ。

筋肉痛だろうから、マッサージをしにきた。

は驚いたが、今の状況が軽減されるなら、と一のマッサージを受けることにしたのだ。

しかし、マッサージを始めると先ほどのように一にとって悩ましい状況に陥ったのだ。


「なあ、。肩のところ、どうしたんだ?子供の時にはなかったよな?」

休憩と称している一が気になって聞いた。

うつ伏せに寝ているのふくらはぎや腿をマッサージしていたが、やっぱり目のやり場に困ってしまって視線を移すとそれが目に入ったのだ。

「ああ、見えた?ゴロちゃんと瑞希には内緒だよ」

はそう言って人差し指を唇に当てた。

「何で?」

「文化祭のときのだから。ゴロちゃんは気に病むだろうし、瑞希にはまたこっぴどく叱られるからね」

ああ、あのときのか。

一は納得した。

「はい、どうぞ」と休憩がてらコーヒーを淹れていたがカップを持ってくる。

「おう、サンキューな」と受け取り、改めて部屋の中を見渡す。

「何か..狭いな」

「うーん、永田さんにも言われたなー。というか、高校の時が広すぎたんだよ。衣笠先生のお陰だけど。それに、一は今の自分の住まいと比較してるんじゃないの?アレと比べたら大抵の日本の住宅は狭いからね」

『永田』という単語に一の胸がズキッと痛んだ。

何だろう、これは...

「一、どうかした?」

俯いて動かなくなった一の顔の目の前にのそれが現れる。

「ああ、いや。なんでもない。けど、これって資料とかに使う本なんだろう?本に埋もれる生活って何かオレは苦手だなー」

何とか話を変える。

「そう?慣れたら気にならないよ。けど、地震が来たら怖いなー、てのは思うかな」

笑って言うに一は顔を顰めた。

「笑い事じゃないっての」

「ごめんなさい」

ぺこりとは頭を下げた。

一は苦笑し、「そういや、今年の誕生日」と話を変える。

不意にの表情がこわばった。

それを見て一も少し動揺する。

毎年、の誕生日には電話をして「好きだ」と伝えている。

時間がかかっても良いと言ったが、あのときの告白をなかったことにされるのだけはいやだった。

だから、答えを求めているものではなく、ただ自分の変わらない気持ちを告げている。

自己満足でに負担をかけることになるかもしれないと思っていたが、やはり知っておいてほしいと思い、わがままで彼女にとって迷惑かもしれないと思いつつもやめずに毎年そうしてきた。

「迷惑か?」と聞こうと思ったが声が出なかった。

そこで頷かれたらとても悲しい。

全てを受け入れるとか言いながら結局受け入れられないところがある。まだまだ子供だ。

あの人なら、と考えて慌ててかぶりを振った。

誰かと比べても仕方ないし、何故彼と自分を比べてしまうのか...

そこのところを追求してしまうと戻れない気がして考えないことにした。

「今年の誕生日は日本にいるのか?」

気を取り直して話を戻した。

「たぶん。8月頭にはちょっと渡米するけど、半ばなら戻ってきてると思うし」

そういえば、夏にアメリカに戻って診察を受ける約束をしているといっていたな、と思い出す。

「そっか。また皆でパーティとかしたら楽しそうだな」

「補習があるんじゃないの?草薙先生?」

からかうようにが言うと「あー、そうかも」と少しげんなりした様子で一は肯定した。

「まあ、5年前の自分たちだと思えば可愛いもんじゃないの?」

「オレらの方がまだマシだったと思うぜ?」

一の言葉には肩を竦めて答えない。

まあ、いいや。もしかしたらそうかもしれないし。

一も肩を竦めて視線を窓の外へと向けた。外は見事な日本晴れだった。









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桜風
09.8.21


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