Dear my friends F 24





補習から逃げたアラタは珍しくデートの約束もせずにいたため、一人で帰っていた。

帰り道、ふと公園に差し掛かると見たことのある人がベンチに腰掛けている。

遠目から泣いているように見えて思わずその人の元へと足を向けた。


「ヴィーナ..じゃなかった。こんばんは」

あの名前で呼んだら彼女は面白いことになるが話は出来ないだろう。

傍らに近所のスーパーの買い物袋を置いているは驚いたように顔を上げた。

夕日を背負っているのですぐには自分に声を掛けてきた人物が誰かという判別がつかなかった。

「ああ、嶺君か。おぬし、中々やるな」

からかうようにがいう。

反応に困った嶺が「どうも」と返し、その反応すらは楽しくて笑った。

「隣、座って良いですか?」

「どうぞ?このベンチは公共のものですから」

何だか、雰囲気が違うなと思った。

「...ヴィーナスちゃんは」

「それ以上ふざけた口調で話しかけるなら、この長ネギが口の中に突っ込まれることを覚悟しておいてね?」

にこりと微笑むの目はちっとも笑っていなくて薄ら寒い。

「えーと、じゃあ何て呼んだらいい?」

「ああ、自己紹介していなかったね。です。様でも、大明神でも、さんでもさんでも好きなように、呼んで」

気さくだが、何だか変な人だなと思いながら「んじゃ、サンって呼ぶね。オレのことも苗字よりも名前で呼んでほしい系?」

どういう系統だ...

そう思いながらも「了解、えーと。アラタ君だね?」とは頷いた。

「うん、いいね。KDM。恋人同士みたいだよ」

「その略し方、無理があるし意味が分かりにくいよね」

「そう?ジェネレーションギャップっぽいってコト?」

「それで良いから、むやみやたらと言葉を略すのやめて」

「おっけ、良いよ。女の子の希望は頑張って叶えちゃうよ。ンフ」

じとー、と冷めた視線ではアラタを見た。

「ちょちょちょ、何、その冷たい視線!」

「ああ、それが分かるならまだまともだ」

の返した言葉に「酷い言いようだね、サン」とアラタも返した。

「で、えーと。何だっけ?」

が話を促した。

「ああ、うん。特には」とアラタは話を濁す。さっき、公園の外から見たら泣いているように見えたから、なんて何だか今のには言いにくい。

「じゃあ、新手のナンパ?」

笑いながらがいう。

「新手、っていうか良くあるナンパ系?」

「...アラタ君、今日補習は?」

が話を変えた。

「あー...ちょちょちょっとサボった、みたいな?」

「追試ダメだったらたぶん合宿とかさせられるんじゃない?」

の言葉にアラタは盛大な溜息をついた。

そんなアラタには笑う。

「笑い事じゃないよ、サン。オレの貴重な青春をそんな勉強のために費やすなんて、ホンッと無意味だね」

肩を落としてアラタがいう。

「偉そうに勉強しなさい、とは言わないけど。やってて損はないとは思うんだよね」

の言葉にアラタは再び溜息をついた。


「...そういえば、サン」

「はいはい?」

サンとエンジェルちゃんって知り合いなの?」

『エンジェルちゃん』と言われて悩む。

「誰?」

「風門寺先生」

「ああ、ゴロちゃん?うん。同級生。高校3年のときにわたし、聖帝に編入してね。そのときのクラスメイト。B6全員ね」

なるほどな、とアラタは納得しかけてやっぱり納得できなかった。

「あのさ、サン。これ、オレから聞いたからってエンジェルちゃんを怒らないでくれる?」

アラタが慎重に前置きするのでは首を傾げながら

「内容によるけど、ゴロちゃんが面白半分で何かを吹聴することはないと思うから怒ることはないと思うけど...」

と返した。

アラタは初めてにあった日に悟郎から言われた言葉を話す。

ずっと気になっていた。

聞き終わったは苦笑している。

「オレは、あなたが望まないならああいうテンションじゃない対応するし、出来るけど。けど、あそこまで毛嫌いされるのは何でかなって。ほら、この間体育祭のとき、リレーが終わって天ちゃんがサンに『結婚してくれ!』って言っても鼻で笑って終わったデショ?ああいう反応もあるのに、何でかな?って」

は少し考えて

「成宮君のあれって、たぶん、一応全力なんだと思うのよ。それこそ、その場ではうそ偽りのない言葉なんじゃないかな?
けど、アラタ君は手を抜いているって言うか、ある意味ポーズでしょ?それが、やっぱりどうもね...ウチの父親がそういう、アラタ君の系統だったから」

と苦笑しながら答える。

「詳しく聞いても?」

「面白くないよ?」と前置きしては話を始めた。









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桜風
09.8.21


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