Dear my friends F 31





聖帝の職員室に行き、さっそくお土産を渡す。

夏休みなので出勤している教師もいつもよりは少ない。

「居る人に配ってください」と真奈美に預け、は一を探した。

「一は?」

翼に聞く。

「...って、あれ?夏休みはNYで仕事するんじゃないの?」

確か、そんな予定だといっていたような...

「用事があって毎週帰ってきている。...一は、今日は見たが、今はどこに居るかは分からんな。携帯にかけてみたらどうだ?」

「そうする、ありがとう」と言って職員室を後にする。


取り敢えず、先に那智文庫のほうを片付けてしまおう。

そう思って生徒会室に向かった。

生徒が学校に来ている限り、生徒会執行部は登校するらしい。

ご苦労なことだ。

ノックをして「しつれいします」とドアを開けると見慣れた人物がテーブルについていた。

「星太!?」

「あ、姉ちゃん。お帰り」

「『お帰り』、じゃないでしょ!何であんたがここに居るの?!部外者の立ち入りは禁止でしょう?」

声を上げてが驚く。傍にいた川久保にお土産を渡して弟に視線を戻した。

この学校は部外者の立ち入りを禁止しているはずだ。

「姉ちゃんだって、入ってきてるじゃん」

「わたしは4月に許可証貰っているもん。ほら、携帯してる」

そう言ってカードケースから許可証を取り出す。

「あ、俺も貰った」

そう言いながら星太は財布から同じ様式のものを取り出して得意気にに見せる。

「なんで...?」

「星太は...あ、いや。星太君は、海外の高校に通っていたと聞きました」

「ああ、いいよ。年も近いし、星太も気にしないと思うから呼び捨てで」

答える慧にがそう言う。

慧は頷いて続ける。

「それで、異文化交流と言いますか。そういうのをしたいと思って上條先生に相談してみたんです」

「それで、許可が...」

「って言っても。今月だけなんだけど」

そう言いながら許可証をに渡してきた。

たしかに、期限が書いてある。

「異文化交流中ってこと。はいはい。なるほど」

肩を竦めて許可証を返した。

「で、姉ちゃん。どうだった?」

「日本に戻っても良いって言われる程度ではあった、かな?」

の言葉に「良かったじゃん」と星太は返し、「ん」とは頷く。

「で、最初の訪問理由になるんだけど」と言っては慧に那智文庫を返す。

「那智君、面白かった」

「まあねー。慧のために幼い頃のおれが一生懸命書いたものだから」

具体的にどんな風に『慧のため』なのかよくわからないが、まあそこは追求しても無駄だろう。

「で、これ。良かったらどうぞ。借りたお礼に作ってみたの」

持ってきた菓子を渡す。

目を丸くして慧は固まった。

何か悪いことでもしたかしら??

そう思って那智を見る。

「あ〜あ。何か怖いんだけど?サンの作ったお菓子とかって」

「姉ちゃんの菓子は美味いって。何?」

「ブラウニー」

「えー、俺も食いたい!」

わがままを言う弟の頭を軽くはたいて「わがまま言いすぎ」とたしなめる。

はたかれたところを抑えて星太は頬を膨らませて拗ねる。

「今度ね」とが溜息混じりに言うと「今回の滞在期間中!」とさらに言ってきた。

面倒だから頷いておいた。

「じゃあ、また機会があったら別の那智文庫貸してね」

はそう言って生徒会室を後にした。









Next


桜風
09.9.11


ブラウザを閉じてお戻りください