| 清春が居ると言う教室へと向かった。 廊下から中を覗くと、清春と悟郎がいる。 生徒は、先ほど確保した八雲と、天十郎に千聖だ。 教える側よりも教わる側の方が多いようだ。 がらりとドアを開けて静かに入る。 清春も悟郎も視線を向けたがに声を掛けてこなかった。ただ、何となく「よく来たな」って感じはした。 教室の一番後ろの席に座って2人の『先生』っぷりを見学する。 別の席に座っていた星太が寄ってきた。 「なんか、別人だよね」 こそっと声を掛けてくる。 は苦笑した。 どうにも天十郎の集中力が消え失せてしまったようなので休憩となった。 そろそろ休憩かな、と思ったは一度教室の外に出て飲み物を購入してきていた。 翼じゃないから指パッチンで「ドリンク!」といえば出てくるなんてシステムは持っていない。 「お!さーんきゅー」 天十郎がに向かっていう。 「そういや、えーと...さんは、星太の姉ちゃんなんだって?」 「そうだね」 「へー...確かに似てるよなー」 「だよだよね!セーちゃんとサン、よく似てるよね!!」 雑談となると元気が出てくる彼らだ。 「そういえや、今年の祭り出られなかったんだよなー!あの合宿のせいで!!」 「祭り?」 星太が聞く。 自分の口にした話題に興味を向けられて天十郎はこの付近で行われる神輿祭りの話を始めた。 「え!?花火も??」 「おお。ドーンと夜空に花火がぱっと咲くんだぜ!!」 得意気に天十郎が言うと「姉ちゃん!花火したい!!」と星太が訴える。 「今度ね」 今は考えるのが面倒くさい。 「そう言って姉ちゃんは俺を煙に巻こうとしてる!今日が良い!!」 「こーらー。星太。ちゃん困ってるでしょ?!」 悟郎が窘めると「これは、困ってるんじゃなくて、面倒くさいときの顔!」と星太が指摘する。 は苦笑して「ご名答」と肯定した。 折角フォローしたんだから...と悟郎が視線で訴える。 ガラリと部屋のドアが開き、一と瑞希もやってきた。 「あ、はい。これありがとう」 先ほど借りた一の携帯を返す。 「話できたか?」 「うん。年末帰って来いって」 「...オレ!?」 は頷いた。 「いっつも絶対帰ってくるなって言って住所も教えてくれないってのになー」 とブツブツと一は呟く。 ずしりと頭が重くなった。見上げるまでもなく、それは瑞希だ。 「久しぶり」 「......うん。どうだった?」 「元気だったよ。お祖父ちゃんも、お祖母ちゃんも。父親も。あ、あと瑞希の職場に行ったよ。預かってるものがあるから今度また家に行くよ」 仕事の話で瑞希は少し眉を顰める。 は瑞希の顔が頭の上にあるから表情は見えないが、雰囲気で何となく分かって小さく笑った。 「あ、そうそう。ハル。手続きとかそういうのはあれで一応良いって言ってた」 「おー、ご苦労!」 「手続きって?」 頭の上から声がする。 「んー?『向こうに行くならついでにチームの事務局に顔を出してなんか必要な手続きがあるならやってきてください、よろしくお願いしたします』って平身低頭でお願いされちゃったからねー」 笑いながらが言うと「ダァレがそんなこと言うかっつうの!!」と清春が抗議をし、は笑う。 「で!姉ちゃん。花火!!」 せっかく話を逸らせたのになーとは小さく舌打ちをした。 「ん?星太は花火がしたいのか?」 「そう!ね、一兄ちゃん。花火しようよ。今日!今晩!!流されないうちに!!!」 「おー、いいな。翼に連絡して、瞬にも声を掛けて。お前らも来るだろう?」 そう言って教室内に要るA3に言う。 「うん!ボク今日はオフだからオッケーだよ。センセも誘おうよ!!」 八雲が頷く。 「おー、いいぜ。でっかい花火上げような!!」と天十郎が言い、「打ち上げは今から用意して間に合うのか...?」と千聖が考える。 「え、打ち上げ...」 星太は困惑しながら千聖の言葉を繰り返した。 「まあ...こういう人が集まる学校なのよ、聖帝って」 呆れたようにが言い、何だかやっと星太も姉の苦労が分かったような気がしてきた。 「あ!じゃあ、慧たちも誘おうよ。俺、聞いてくる!!」 星太はそう言って教室を後にした。 A3たちは勿論嫌がって声を上げたが、星太の耳には届かなかった。 彼らには大きな権力を手にしてその権力に振り回されている慧は、クラスZを目の敵にした嫌な生徒会長にしか映っていない。 「...まあ、星太の数少ないこっちの友人だから。大目に見てよ」 が言うと彼らは押し黙る。 「ありがとう」 は彼らに礼を言った。 それはしぶしぶでも慧たちが今晩の花火に参加することを了承してくれた証拠だったから。 |
桜風
09.9.18
ブラウザを閉じてお戻りください