Dear my friends F 36





が家に帰るといったので、星太もついてきた。

今日サボられたらせっかくわがまま言ったのに楽しくない。

「姉ちゃん、何で数学教えてたの?」

「ハルが逃げたから。今日の花火大会、って良いのかな?で悪戯するんじゃないの?ハルがいなくて、数学の講師がいなくなって、補習終わりだーってあの子達が逃げようとしたから仕方なく、ですかね」

「相変わらずだ」と星太は笑う。

清春のチームの本拠地がある街の高校に通っていた星太はオフの時は清春が時々遊びに連れて行ってくれたし、数学は清春に見てもらった。

そんな感じに交流を深めていく上で、彼の悪戯を目の当たりにしている。

何故が自分に向けた悪戯はなかった。イギリスに行ってまで瞬に悪戯の情熱を向けているのが理由だったのかもしれない。

まあ、自分が無事だったからいいや。

「で、姉ちゃん何してんの?」

「お菓子作り」

簡潔に答える姉に目を丸くした。

「え、何で?」

「食べたいってわがまま言ったのは誰かしら?ちょうど材料もあるし」

の言葉に星太は幸せそうに微笑む。

「ありがとう」

「はいはい。甘やかし過ぎだって反省中ですよー」

そういいながらも手際よく先ほど目にしたブラウニーを作っている。


「なあ...姉ちゃん、幸せ?」

不意に星太が聞いた。

さっき那智に昔の話をしたから何となく気になったのだ。

は目を丸くして振り返る。

「どうしたの、一体全体。日本の水が合わなくなったの?」

「どうなんだよ!」

聞いたほうも恥ずかしいのに、そんなびっくりした表情でこっちを見ないでほしい。しかも何だ、「日本の水が合わない」って!!

「まあ、幸せでしょうね。一緒に笑ってくれる友だちがいるし。心配して1ヶ月もこっちに滞在する弟もいるし。面白い後輩見つけたし。やることあるし、求められているものもあるし。幸せ、なんじゃないの?その定義が曖昧だからわかんないけど。星太は?」

「幸せだよ。悪戯を教えてくれる姉ちゃんの友達がいるし」

「参考にしないように」

「動物語を教えてくれるちっちゃいころから世話になってる兄ちゃんいるし」

「それで『バイリンガル』とか『トリリンガル』とか言わないようにね」

「天才的に頭の良い、ってか、本物の天才か。天才でかなり面倒くさがりの兄ちゃんがいるし」

「ぜんぜん面倒見てもらってないじゃないの」

あきれたようにが言うと星太は笑う。

「まあねー。瑞希兄ちゃんには面倒見てもらったのは去年くらいだもん」

「瑞希は他人が嫌いだったからね」

苦笑しながらが言う。

「俺、こっちに友達いないんだ」

「そうでしょう」

の言葉にむっとする。

「何でそう思うんだよ」

「あのね、友達がいたらいくら一でも心配で合宿に連れていかない。わたしと違って友達づきあいの伊呂波は心得てるわよ、一って」

の言葉に見透かされた感じがして星太はぷいとそっぽを向いた。

「ねえ、星太。この滞在中に北海道に行ってみない?」

の言葉に星太は驚く。

「わたしもついていってあげるから」

「どういう心境の変化?」

まさか姉の口からあの母親がいる地に行かないかなんて言葉が出るとは...

『北海道に行く=母に会いに行く』のはずだ。

は苦笑した。

しかし、それ以上言葉で答えようとしない。

「別に、いいよ。俺、最終週の月曜の飛行機のチケット買ってるから。それまでに言って。たいてい暇だし」

照れ隠しのようにぶっきらぼうに言う星太には小さく笑った。

ああ、可愛いなー...

ふと思った。

ああ、そうか。那智もこのタイプなんだ。だから、構いたくなる。

そりゃ、確かに清春だって構うわなぁ...

清春はどうやら星太を気に入っているみたいなので納得した。

こう..素直じゃなくて一生懸命背伸びをしているけど、その姿を見せないように気をつけているところがなんとも、構ってやりたくなるのだ。

今日花火大会に来るらしいから聞いてみよう。

この後の花火大会がちょっと楽しみになってきた。









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桜風
09.9.18


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