| 「覚悟しろォーーー!」 清春が『清春様特製ロケット花火』をに向けた。 「キヨ!ちゃんに何てものを向けてるのさ!!」 悟郎が窘めるが 「受けて立つ!」 とは置いてあった手頃な棒を拾ってバッターのように構えた。 「え、ちゃん...ボクのフォローって...」 悟郎は呆れたようにに声を掛けるが、楽しそうに笑っているのでまあ、しょうがないと諦めた。 目の前では飛んで来るロケット花火をすべてフルスイングで落としていくと負けじと特製のロケット花火に点火する清春の対決が繰り広げられている。 「ったく、本当にあの人死に掛けてたのかなー」 「......それは、ホント」 気配を感じさせず、自分の後ろに立っていた人物があったことに那智は驚き、振り返る。 「の診察をしたおばあちゃんが物凄く怒ったって。放置しすぎだ、って。おじさん、物凄く怖かったって......でも、何で知ってるの?」 瑞希が不思議そうに自分を見下ろしている。 「星太と、ちょっと話したときに聞いただけですよー」 人当たりのいい表情を浮かべて那智が答える。 「...ふーん。いいけど」 そう言って瑞希はその場から離れる。 「あの..さんって在学中からああだったんですか?」 真奈美が耐えかねたように傍にいた瞬に聞いた。 「『ああ』とは?」 「真壁先生や、仙道先生とのやり取りとか見てると、その...」 「子供っぽい、と言いたいのか?」 苦笑しながら瞬が言う。 少し躊躇った真奈美はうなずいた。もっと、こう...今まで会話をした感じでは落ち着いた、憧れの大人って感じだったのだ。 「...俺が勝手に言うと星太が怒るかもしれないが。俺たちB6は『身内』って認めてもらえている証拠なのだろうな。他者を相手にして卒のない受け答えは得意だからな。といっても俺は高3のときの1年間しか見ていないから過去やその後ののことはよく分からんが」 「そう..ですか」 「先生の憧れからどんどんかけ離れていっているのだろうな、今のは。まあ、仕方ないと諦めてやってくれ」 笑って瞬が言った。 その笑顔が優しくて真奈美は思わず視線を逸らす。 こんなに和らいだ瞬の表情を見たのは初めてだったため、物凄くビックリしてしまった。 「そういえば、ちゃん」 清春VSは毎度の事ながらの勝利で終わった。 しかしいわく、清春はが負けないように手を抜いてくれているので、勝てても清春のお陰らしい。 それについては、納得できないところもあるが、本人がそう言って納得しているし清春も否定しないのでそのとおりだと皆も思っている。 もちろん、不特定多数に対して仕掛けたトラップについては相手を選んで手の抜きようがないため、これはの完全勝利だ。 「なになに?」 いい運動をして機嫌のいいは弟が取り置いてくれていたバーベキューの肉やら何やらをほおばっていた。 運動の後のご飯はとても美味しい。 「ちゃんは今年の誕生日、どうするの?」 「何も。仕事はするだろうけど、取材は入れてない。さすがに、お盆だからね」 「...じゃあ、僕とトゲーでお祝いする」 「ちょっと、ミズキ!この話の流れなら、『みんなで』ってのが正解でしょ!!」 「イヤだ.........」 「別にいいよ。前にお祝いしてもらったから」 の言葉に瑞希と悟郎は勢いよく振り返る。 「いつの話してんの!」「それって5年前」 見事にタイミングを合わせて2人はそういう。 は肩をすくめた。 実際、あれはとても嬉しかったし、それで十分だった。しかし、どうにもこの雰囲気ではそれが許されないらしい。 「あ、じゃあ。遊園地行きたい!」 星太が挙手して言う。 「オイ、今は星太の誕生日の話じゃねェだろう...」 呆れたように清春が星太をたしなめる。 しかし、「だって、姉ちゃん遊園地行った事ないよな?」と星太が言うものだから周囲は大騒ぎだ。 「Wait!遊園地にすらいけなかったのか、庶民は!」 「え、ホントに?!」 「オイオイ、ホンットにオメェはよ...」 「、俺でさえ行ったことがあるぞ。結構楽しいものだ」 「......僕も、ないよ」 「あっれ〜?一緒に行ったことなかったか??」 翼、悟郎、清春、瞬、瑞希、一が口々に言った。 「あ、あるよ!一のお母さんに連れて行ってもらったことが何回か。けど、星太が小さかったからそんなに乗り物に乗れなかっただけで...たぶん、最後に行ったのが15年位前だと思うけど」 ちょっとムキになって反論するものの、15年前の話をされても...と皆は苦笑する。 「仕方ない。なら、今度の誕生日は遊園地を貸切にしてやろう」 翼がそういうが、「ダメだよ、翼さん」と星太がストップをかける。 「What!?何故だ?」 「遊園地ってのは、庶民が大勢行っても楽しめるはずの施設だよ。だったら、貸切にしたらまずあの遊園地の雰囲気がなくなるし、乗りたいアトラクションを並んで待つのも遊園地での醍醐味なんだから」 と星太が遊園地を語る。 「星太。オメェは行ったことあるのか?」 「うん。遠足とか、友達と卒業を記念して行ってみたり。第一、向こうは夢の国の本場じゃん」 「おい、」 「もう言わなくていい。ハルが言いたいことはよーく分かったから」 「弟のが人生経験豊富ってどーなンだよ」 「言わないで、って言ったでしょ!!」 「オメェは本ばっかり読んでて頭でっかちなだけなんだから、もっと経験と積め!」 「何よ!本を馬鹿にしないでよね!!ワルツもバイオリンも本から学んだのよ!それにね、さっきのアラタ君のだって、きっと本で正しい意味を探してみせるわよ!!」 もうその話題は忘れて、オネガイ... 少しはなれたところでB6たちの会話を聞いていたアラタは心からそう願った。 だって、ほら... 瑞希と悟郎と一が振り返ってアラタを睨んでいる。 怖いったらありゃしない... 「ピーちゃん。自業自得、ですぞ〜」 「だよねー...」 計らずも『口は災いの元』を体験することとなったアラタは肩を落として肯定した。 |
桜風
09.9.25
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