Dear my friends F 40





「おー、絶好の遊園地日和だなー」

何だ、それ...

はそう思ったがスルーした。

そんな些細な一言よりも気になることがあるのだ。

「あー!やっと来た。もー!遅いよ、サン」

「本当。おれたちを待たせるなんて何考えてるんだろうね。ねえ、兄さん?」

「いや、今日はさんの誕生日をお祝いするための催しだから、さんが主役だ。それに、5分前行動にもなっているぞ」

「...何故、在校生までいるのでしょうか」

誰にも焦点を合わせずには誰にということもなく問う。

「まあ、あいつらの前で話をしてたんだから、来るってのは何となく納得できるよな」

出来ることだったのか...!!

自分の中にない見解を一の口から聞いては驚く。

「まあ、いいや」

諦めた方が楽になる。



「...大丈夫?」

に肩を貸していた悟郎が声をかける。

「ちょ、無理...休ませて」

ぐったりとベンチに腰を下ろしたの顔色は悪い。

「はは、もう年なんじゃないの〜?」

笑顔で那智が言い、「そうね」とは返す。

もうそれでいい。

「何か冷たい飲み物、買ってくるな」

一が心配そうに顔を覗き込んだが「大丈夫〜」とへらっと笑ってが言う。

そうは言っても、と心配そうな表情は晴れない。

「と、いうか。生徒たちが羽目をはずし始めてるよ。見てないと。わたしは、ここで休んでる。日陰だし。元気になったら自分で買いに行くから」

「......僕、一緒にいようか?」

瑞希が心配そうに申し出た。

「トゲーは、まだ遊び足りないって言ってるよ。大丈夫だから」

「ト、トゲー...」

心配そうにトゲーが声を漏らすが、少しだけ他のアトラクションにも気が向いているようだ。

一緒に残ったらきっとが気にするだろうと思ってここは引くことにした。


はどうだった?」

羽目を外し始めた生徒たちを確保しながら瞬が戻ってきた一に聞く。

「大丈夫、って言ってるけど...あれ、結構無理してると思うな」

「っつっても、傍にいたらアイツの事だから気にすんダロ〜?」

アラタを捕まえた清春が言う。

「まあね。ちゃん、必要以上に気を遣う子だからね」

「永田がついているそうだ。後は心配するな」

翼がそういい、B6の皆は驚く。

「いいのか!?」

瞬が問う。

「今は非常事態だろう。俺たちがダメなら永田しかないだろう。も、永田なら頷くだろうしな」

何せ永田は、在学中にが信頼を寄せていた数少ない大人だったから。

振り返った一の目に入ったのは、スーツを着た永田がに紙コップを渡している姿だった。

焦燥感が胸の中でじわりと広がる。

成長できたと思ったのに。

結構がんばってるのに...

まだ、遠いようだ。

ポンと肩に手を置かれて視線を戻すと翼だった。

「行くぞ」

「あ、ああ...」

翼に促されて一は気持ちを切り替える。こうやって悔しい思いをしたり、ちょっぴり切ない気持ちになるけど、自分が彼女に向ける気持ちは変わらないのだ。

気持ちを切り替えて、とても困っている真奈美の元へと駆け出した。

「おい、ゴロー!」

「うん...」

清春に促されて悟郎も駆け出す。

悔しいな、と素直に思う。

今のところ自分はにとって『特別』にはなれていない。

一や瑞希は幼いときの彼女を知っていることから、距離が近いし、永田は自分と同じタイミングで彼女と知り合ったのに、ああやってかなりの信頼を寄せられている。

「こんなに好きなのに」

ポンと頭を軽くはたかれた。

顔を上げると清春が隣を走っている。

「よけーなコト、考えンな」

悟郎は目を丸くした。

「キヨ...?」

悟郎の言葉に清春は答えず、そのまま走るスピードをあげていく。

今日は雨が降るのかな?

そう思ったが、なんだか嬉しくて悟郎は笑う。

「キヨ、ありがとう!」

「ウッセー!」

自分の足が速かったら清春の前に回りこんで顔を見るのにな、と思って少し悔しかった。










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桜風
09.10.2


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