| 無事瑞希を起こしたあと、は一度正門へと向かう。 「どうしたの?」 「んー、きてるかな、って。あ、来てた」 そう言ってが駆け出した。 瑞希が見守っているとそこには猫が居た。一の大親友のタマだ。 はタマを抱えて戻ってくる。 「どうするの?」 「ほら、クラスZって喫茶店らしいけど、テラス席ってのを作って、そこは動物オッケーなんだって。ゴロちゃんもパゥ連れて行くって言ってたし。ちょっとタマに話したら『にゃー』って返事したから来るってコトなのかな、って」 が言うと「にゃあ〜」とタマが満足そうに鳴く。 「じゃあ、行こうか」 瑞希が促した。 さっきは手をつなぐことができたが、今のはタマを抱えているから手をつなぐことはできない。 とても残念だが、いい加減大人なので我慢した。 「こんにちは」と店内に足を踏み入れる。 「おー!よく来たな!!」 そう言ったのは天十郎だ。 「うん...コスプレ。古今東西だねぇ」 苦笑しては周囲を見渡した。 「まあな!あ、そういやさっきのロミオとジュリエット。俺様カッコ良かっただろう!」 「ああ...あの、ロミオとジュリエットっぽいお話ね。面白かったよ」 いろんな意味で、と心の中で付け加えてはうなずいた。 「そうだろう、そうだろう」と天十郎は満足そうに頷いているが、が自分の問いに答えていないことには気づいていない。 「相変わらず煙に巻くね、サン」 苦笑しながらアラタが近づいてくる。 「こんにちは。ねえ、テラス席ってのがあるって聞いたんだけど...」 そう言って腕に抱えたタマを抱えなおす。ちょっと重いんだ... 「いいよ。丁度、B6の先生たちもテラス席にいるから。相席でも良い?エンジェルちゃんとか」 「うん。いいよ、もちろん」 たちがクラスZに到着するおよそ10分前。 一と瞬がクラスZにやってきた。 一は店内に足を踏み入れたときからそわそわしていた。 この喫茶店の裏メニューであるドンペリセットを注文する。 その裏メニューのことを知らなかった瞬は驚き、そのメニューの内容を聞いてさらに驚いた。 そして、いたたまれなくなり、隣のテーブルに移動した。 「ってか、シュン。なんで来たのさ。狭い狭い」 悟郎に邪魔者扱いされた瞬だがめげずにそのまま居座る。 「...しかし、草薙は」となんだか余計に困惑している。 一は一でドンペリセットの特典である『指名』した子を待っているのだ。 「んー?そうだったらゴロちゃんポペラ喜ぶけどね。ライバルは少ないに限るでしょ?」 そう言って瞬の団子に手を伸ばす。 「い、いや。しかし...そうだな、あれから5年だ。草薙にとっても、は家族愛になったのかも知れんな。意外と手のかかる妹といった感じに...」 「シュ〜ン〜?何々?シュンはちゃんのことを『妹』って思ってるの?!」 図々しいといわんばかりに悟郎が確認する。 「ああ、そうだな。友人だが、やはり少し手がかかるからな」 実はそれは瞬限定だということを彼は気づいておらず、悟郎の視線がより厳しいものとなっていることにも気がついていない。 「でも、シュン?『手がかかる』といったら間違いなくボクたちの中だったらキヨだと思うんだけど?キヨもかわいい??」 「んなわけあるか!!」 言うだろうと思った。 悟郎は肩をすくめた。 「しかし、風門寺。のときは、その..中立を保つつもりで何もするつもりもなかったが...相手がではないとなると、俺はどうしたら良いんだ?」 「どーゆーこと?」 興味なさそうに悟郎が一応聞き返す。 「その、恋愛ごととかそういうのは正直苦手だ。だが、あの草薙にやっと新しい恋が生まれたんだ。やはり、祝福して何か橋渡しのような...」 「あーあー。いいんじゃない?いらないでしょう、そういうの。放っておくのが一番だって。見守ってあげなよね」 「しかし、あの草薙だぞ?人のことは言えないが、草薙ではどうにも埒があかないんじゃないか?」 「あー、ホント。人のコトいえないよね。少なくとも、ハジメは初恋は体験済みなんだから。シュンは、まだでしょ?」 悟郎が言うと瞬は向きになった。「初恋くらいは経験済みだ!」と。 「へぇ..ふぅん...んじゃ、シュンの初恋話が聞きたいなぁ〜」 興味津々の悟郎に瞬が慌てる。 「な!?何故そんな話になる?!」 「だぁって〜、ハジメのアレを見てもまだ恋を応援したいとか思うの?」 悟郎が指差した先には、猫を抱いてやってきた真奈美が居た。 その猫に対して一はメロメロなのだ。悟郎としてはこのオチは読めていた。 しかし、その次の展開は読めていなかった。 「ハジメちゃんの浮気者!」 軽い口調で非難するようにが言う。 「んな!?!!???って、タマ!!いや、これは違うんだ。えっと、その...」 突然のの登場と同じくタマの乱入により、一はパニックになる。 「一......浮気するんだ」 瑞希が止めを刺す。 「いや、違う。違うんだ、タマ!」 そっちに言い訳か!! 心の中でそう突っ込んだ者、多数。 しかし、タマは気にしていないのか、一が指名したアラタの猫のロアの前に座った。 「ニャァ」と鳴く。 「訳して」 に言われて一は頷いた。 「あ、あー...初めまして、きれいなお嬢さん」 「にゃあ、なう〜ん」 「えーと..貴女のような美しい人に会えたこの日を記念と...って!オレじゃない。オレじゃないぞ!!タマが言ってるんだからな!!」 の視線が物凄く冷たいものになったのに気がついた一が慌ててそう言った。 「これだから、オスって...」 凍えるような声ではそう言ってテラス席に向かった。 「こ..こえぇぇ...」 「うん、は怒らせたら.........怖い」 「と..とげぇ...」 その視線のすぐ傍にいた2人と1匹は同じ感想を呟いた。 タマも、同じように感じたのかロアから距離をとり、一に飛び乗りちょっぴり震えていた。 |
桜風
09.10.23
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