Dear my friends F 56





一が助手席、運転席には彼の母親。そして、後部座席に二葉、、三希ということとなった。

一は耳栓とアイマスクをしている。

「あの、おばちゃん...」

「んー?どうしたの?そんなに遠くないけど...あ、もしかして酔った?!乗り物苦手??」

「じゃ、なくて...何で一にアレ...」

が躊躇いがちに言う。

「え?道を覚えられたらウチにやって来そうじゃない?面倒でしょー!ね?二葉、三希?」

「うん!」

「時々が良い」

母の言葉に二葉と三希が頷く。

「えー..と。一が可哀想ってちょっと思ったんですけど...」

ここまで邪魔扱いされた一に同情を禁じえない。

「まあ、ウチに滞在してたら分かると思うよ」

笑いながら一の母が言う。

「ま、まあ...ちょっと想像できるけど」

猫に対するあのデレデレが妹たちに向くんだろう...

一は動物全般が好きだけど、もしかしたら小さいものが好きなんじゃないかと最近思い始めた。


しばらく、30分くらい走っていると広々としたところに出た。

なんだかもの寂しい風景だ。

「やっぱ、すごいよね」

ちゃんって、確かアメリカに4年くらい住んでたんじゃないっけ?一が言ってたわよ」

「うん。あっちも広々としてた。やっぱり外国だなーって思ったよ」

「お姉ちゃん、アメリカに居たの?」

「そうだよ?」

の言葉に三希が興味を持った。

「何で?」

理由が言いにくい。

「お姉ちゃんのお祖母ちゃんが住んでたんだって。あと、大学も向こうだったからだよ」

の代わりに一の母が答えた。

ああ、そうか。一が話していたのだろう。

「もう、大丈夫なのよね?」

バックミラー越しにを見ていた一の母親の瞳はとても優しくて、は少し泣きそうになた。

声に出さず、は頷く。バックミラーの中の一の母親は目を細めてやさしく微笑んだ。



「はーい、着いた!」

大きな家の前で車が止まる。

やはり、大きな家だなぁ...

車から降りたは家を見上げてそんなことを思った。

「っく〜!疲れた!!」

車から降りて一は体を伸ばす。

「お姉ちゃん、早く!」

腕を引いて二葉と三希が家に向かう。

「あ、あれ...?オレは??」

置いてけぼりになった一は羨ましそうにの背中を見送った。

「アンタ、そうやってぼうっとしてたらいつかちゃんを誰かに取られるんじゃないの?ほら、勇次君とかいたでしょ?」

母にそういわれて一はムッとする。

「大丈夫だよ」

「あら〜?余裕ね??」

「...そんなもんねぇけど。『取られる』ってのじゃないってこと。は流されないようにがんばってるから」

「何よ、甲斐性なし」

母に物凄く痛いところを突っ込まれてぐっと言葉が詰まった。

「甲斐性くらい、ある」

そう返している一に「はいはい」と適当に返して母も家へと向かって行った。









Next


桜風
09.11.6


ブラウザを閉じてお戻りください