Dear my friends F 62





臨時の生徒総会が開かれる。

3年も受験を終えたため、文句等はでなかった。

何より、世界的に有名はあの謎に包まれた作家が講演するというのだ。

今後の話の種になるし、情報として面白いカードになる。

そう思った者もいただろう、結局全員がこの会に参加することになった。


講堂の控え室に居ると訪問者があった。ドアがノックされて返事をすると姿を見せたのは理事長と上條だった。

「このたびは、生徒が無理を言いまして...」

「いいえ。この学園への取材は今年度だけというお約束でしたし、せっかくだからそれに付き合ってくれた生徒たちに何らかのお礼がしたいと思っていたので。吾妻君からお話を頂いたときにはこちらとしてもありがたいと思いました」

「そうですか。では、本日のお話を楽しみにしていますね」

理事長と上條が部屋を後にする。

「本当に、大丈夫......?」

理事長たちの訪問があったため、部屋の隅に隠れていた瑞希が出てきて声をかける。

「大丈夫。あ、あと八雲クンの方の」

そう言ってはパソコンを立ち上げた。

八雲が使用していたスプレーの成分結果が出たのだ。

「結構手間取ったみたい」

「施設がそれ用じゃないから仕方ないよ。こうして結果が出ただけでもすごいと思う、おばさん」

そういいながら瑞希はのパソコンに送られたメールを確認していた。

「瑞希が作った飴で中和できそう?」

「うん。これなら一応出来てる。まだ少しリハビリは要るけど、長い間この薬を使ってたから治すのはゆっくりの方がいいと思うし」

瑞希の言葉には頷いた。

「ねえ、瑞希」

が俯いて名前を呼ぶ。

「なに?」

「これが終わったら、話があるの。聞いてくれる?」

瑞希は少しあきらめたように小さくため息を吐いた。彼女の中で答えが出たらしい...

「うん.......わかった」

「ありがとう」



川久保がを呼びにきた。

ふっと短く息を吐いては講堂の壇上へと向かった。



が姿を現すと周囲はざわつく。

なぜこの学園にたびたびやって来ていた不審人物が壇上にいるのだろうか...

殆どの生徒の反応はそれだった。

「...本当に那智もこの場にいていいのか?」

慧がこっそりとそばに居た悟郎に問う。

「大丈夫。ボクたちに任せちゃいなさい」

そういって悟郎はパチンとウィンクをする。

『皆さん、こんにちは』

の話が始まった。

彼女はこの学園で過ごした1年間の話をする。

自分の人生を変えた、とても大切で貴重な1年。

『私が唯一“学んだ”学校はこの聖帝学園であり、母校と呼べる学校はここだけです』

締めの言葉のようにがそう言った。

教師陣のほうから拍手があがり、やがて講堂内にその音は広がっていった。

『ところで皆さん』

その音を掻き消すようにの声が講堂に響く。

ああ、なんだ。終わりじゃなかったのか...

なんとなく気まずい雰囲気が漂った。

拍手が徐々に小さくなり、やがて講堂内は静まり返る。

真奈美がふと傍に居た翼を見上げる。

翼は口角を上げてじっとを見据えていた。

何かを期待するように、信頼を寄せるように。

少し離れた清春を見ると、タチの悪い悪戯を仕掛けた時のような笑顔を浮かべている。

気がつくと、壇上にはもう一人立っていた。

瑞希だ。

「さあ、はじめようか。Let's start」

翼はそう呟いた。










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桜風
09.11.22


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